マスボクシング探訪③ “岩手の倒し屋” ミナノジム 岡根祐一 会長編(岩手県盛岡市)

岩手県内におけるマスボクシング技術の向上および普及促進を目的として、このたび、日本プロボクシング協会加盟ジムであるミナノボクシングジム(岩手県盛岡市)を訪問いたしました。盛岡は、仙台に次ぐ東北第二の都市ともいわれ、北東北の中核を担う都市です。

12月の開運橋|凛とした盛岡の表情

今回は、岡根 祐一 会長ならびに、ジム所属の選手・練習生の皆さまと、マスボクシングに関する技術交流を行い、有意義な時間を共有することができました。なお、取材当日は雪の降る中での訪問となりましたが、終始熱意あふれる交流の場となりました。

※当会監修を務める比護は、日本ボクシング連盟加盟の別部門である「ミナノジムスクール」に所属しております。

目次

ミナノボクシングジムの強み

今回訪問したミナノボクシングジムは、岩手県における実戦型ボクシングの最前線を支えるジムであり、県内唯一の日本プロボクシング協会(JPBA)加盟ジムとして24年目を迎え、プロボクサー育成の中核的な拠点となっています。

公式リングを移設、堂々の広さ!

会長の岡根 祐一さんは、現在、日本プロボクシング協会の理事を務めておられます。
盛岡南高校から中央大学へ進学し、学生時代に全国レベルで強烈な存在感を示した、アマチュア・プロを通じて高いKO率を誇る、岩手屈指の強打者です。

プロ時代には、その強打ゆえに対戦を警戒され、日本人選手から敬遠される存在であったというエピソードも残っています。その結果、岡根会長の対戦相手には日本人選手が名を連ねることはなく、B級デビュー(注1)から無敗のまま、わずか6戦目にして、当時「難攻不落」とも称された リック吉村 選手が保持していた日本タイトルに挑戦するというご経験をお持ちです。

注1:日本のプロボクシングはA・B・C級に分かれており、通常はC級(4回戦)からデビューしますが、アマチュアや他競技で実績のある選手はB級(6回戦)からデビューできます。那須川天心 選手はキックボクシングの実績によりB級デビューしました。

ミナノボクシングジムは、「実戦の強さ」と「技術理論の深さ」を高い次元で両立させている、東北地方でも貴重な存在です。その活動と存在意義は、岩手県ボクシング界全体の価値向上、さらには競技文化の発展に大きく貢献されています。

独自プログラムを支える商標登録の数々

またミナノジムでは、各種商標登録(注2)を行うなど、独自性のあるプログラムづくりにも積極的に取り組んでおられます。

注2:商標登録とは、商品名やロゴなどを特許庁に登録し、独占的に使用できる権利(商標権)を得る制度です。これにより、他社による類似商標の使用を防ぎ、ブランドを保護できます。

ミナノジムとの技術交流で得られた気づき

今回は、岡根会長をはじめ、プロテスト(注3)を控えた20代の選手や、アマチュア全日本選手権を目前に控える選手の皆さまを交え、プロ・アマ双方の視点から、実技を中心とした技術交流を行いました。

安全性・精度・再現性をバランスよく高めていくための、非常に有意義な気づきを得ることができました。
今回の技術交流で得られた主なポイントは、大きく分けて以下の2点です。

注3:ボクシングのプロテストとは、プロボクサーになるために受ける公式の試験のことです。筆記試験と実技(スパーリング)が行われ、合格するとプロライセンスが交付され、公式戦に出場する資格が得られます。

プロテストを控えたホープ 豊巻選手(左)

1.打撃軌道の修正と無駄のない動きづくり

実技を通じて確認されたのは、「当てに行く」意識を強めるのではなく、最短距離・最小動作で成立する打撃軌道を意識することの重要性です。
肩・肘・拳の連動を整理し、上下動や過度な体重移動を抑えることで、

・パンチの初動が読まれにくくなる

・寸止めでも打撃の質(威力感や切れ)が伝わりやすくなる

・身体への負担が軽減され、継続的な技術向上につながる

といった点について、意見交換を行いました。
これらは、マスボクシングにおいて「見せる」「評価される」動きを身につけるうえで、非常に重要な要素です。

パンチの初動にしっかり反応する豊巻選手(白)

2.パンチが最も生きる距離の形成

今回の交流では、パンチそのもの以上に、距離(レンジ)の作り方が技術の要となることを改めて確認しました。

・踏み込みすぎないこと

・半歩単位で距離を調整すること

・相手の反応を引き出してから打つこと

これらを意識することで、力に頼らない、技術として成立する打撃が可能となります。
特にマスボクシングでは、適切な距離感を保つことで、

・寸止めでも打撃の存在感が伝わる

・不要な接近による接触リスクを避けられる

・攻防の流れが途切れにくくなり、試合全体の質が高まる

といったメリットを、あらためて確認することができました。

打撃ポジションを確保する豊巻選手(白)

プロテストを控えるミナノジム期待のホープ・豊巻 要 選手は、練習への姿勢と吸収力の高さが印象的で、今後の飛躍が大いに期待される存在です。

岡根会長や選手の皆さまと意見交換を行いながら

 岩手ボクシングの発展に向けて

今後もプロ・アマの垣根を越え、それぞれの立場や競技環境の違いを尊重しながら、実践的な技術交流の場を継続的に設けていきたいと考えています。

競技力の向上と安全性の両立を図るとともに、選手・指導者・ジムが相互に刺激し合うことで、マスボクシングレベルのさらなる向上につながると期待しています。

岩手が再び「ボクシング王国」として存在感を示す未来に向け、今回の交流は、県内ボクシング界が一体となって歩みを進めるための、確かな土台を築く一歩となりました。

岡根 祐一 会長(左)と当会監修の比護 忍

そして、日頃から岡根 祐一 会長と接する中で感じていることですが、ミナノボクシングジム最大の魅力は、岡根会長のお人柄にあるのではないでしょうか。

【特別インタビュー】岡根会長メッセージ・Q&A

1.岩手県唯一のプロ加盟(JPBA)ジムとしての役割と使命は?

地方のジムからも世界へ挑めると言うことを証明し同じ志を持つジムが増えるきっかけになりたい。

2.岩手ボクシング界の現状をどのように考えていますか?

やはり選手層が薄い点だと思います。

3.競技人口の減少に対して、若年層を惹きつける施策は?

もっとSNSやメディアを使ってボクシングの効果(強くなれる)や魅力(楽しい)を発信する必要があると思います。

4.プロとアマチュアの技術交流を進めるうえで、最も重要な視点は?

ラウンド数やグローブやルールの違いがあってもリングは全く同じ物なのでお互いの競技文化を尊重し合い指導者・選手が仲間意識を持つことが重要だと思います。

5.岩手県における「次世代の強いボクサー」を育てるために必要なことは?

技術やスキルの前に基礎体力の強化がより一層必要になると思います。

6.マスボクシング普及に対して、プロジムとしてどのような協力が可能か?

やはりマスボクシングは、一般の競技者に支えられていることから何時でも使える練習場を提供出来ればと思います。

7.ミナノジムが大切にしている指導哲学(フォーム・距離・攻防の考え方)は何か?

いろんな技術や指導方法があると思いますが、指導者のこだわりを入れない事で選手の個性を尊重し伸ばして行くことを優先しています。

8.岩手ボクシングを“再び強くするため”に、県全体が取り組むべきテーマは?

シンプルに基礎体力!


企画・取材:日本マスボクシング研究会

編集協力:Team Ringside Tokyo

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